子供のころの記憶
子供のころ、近所に年の近い子が多く、年齢も性別も関係なく毎日のように遊んでいました。
そのうち、なおちゃんという確か2,3歳年下の女の子が引っ越してきて、すぐにみんなで遊ぶようになりました。
ある時なおちゃんが、庭にお父さんがブランコ作ってくれたの、遊ぼう、と誘ってくれたので、みんなでおうちに行きました。
すごいねー-とはしゃぎながら交代でブランコに乗っていたら
家の中からなおちゃんのお母さんが大きな声で言いました。
「なおちゃんのお父さんが怒ってるよ!なおちゃんのために作ったブランコなのにって」
瞬間的にみんな静かになり、心がずんとしました。
子供なのでその心の原因はよくわからなかったけど、まずは単純になおちゃんのお父さんへの恐怖。
何度もなおちゃんのおうちに行っていたけれど、お父さんが顔を出してくれた事はありませんでした。
見たこともないなおちゃんのお父さんが怒っているってなんだかとても怖い感じがしたし、そしてそれを大きな声でみんなに伝えたなおちゃんのお母さんに、子供心にヘンな感じがしました。
その日もなおちゃんのお父さんは見なかったけれど、家にいたのかな?どこから見ていたんだろう?という疑問もわいた気がする。
当然そのあとでもブランコに乗れるようなツワモノはおらず、シーンとした時間はそう長くはなく、もしかしたら一瞬だったのかもしれないけれど、今も忘れられないのはなおちゃんの表情。
ものすごく悲しそうな顔をして、小さな声で「え。みんな遊んでいいよ・・」
なおちゃんは元々困り顔で声の小さい子ではあったけれど。
なおちゃんはとてもいい子でした。
みんながブランコで楽しんでくれているのが嬉しい、楽しいと本当におもってくれていて、それをお父さん(お母さん)の一言でこうなって悲しかったのかなと思います。
びっくりしたのかもしれないし。
大人になった今もうまく言語化できないけれど、その時のなおちゃんの気持ちを思うとぎゅっとなります。
親しい人の間で、本当によく忘れる事で知られた私ですが、瞬間的にとてもクリアに覚えていて、時々出てくる記憶があります。
だいたいはどうという事もない日常が感情とセットで蘇ってきます。
みんなそうなのかな?
また沸いてきたらせっかくだから綴ろう。